パワーストーンの真実。

舎人独言

映画男と女 和訳 L’amour est plus fort que nous 解読 愛は私たちより強い

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映画「男と女」の中の挿入曲・・・ではあるのですが
それ以上に、キーワードのような歌
とも言えるのではないでしょうか?
ベッドインはしたのに結ばれなかった
アンヌとジャン・ルイの様子の映像とともに
この歌が流れます。歌詞によって、
なぜ二人が結ばれなかったか、
背景となっているすれ違いをうかがうことができます。


 
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字幕は、ジャン・ルイとアンヌのセリフだけです。
ですが、この歌が、二人の心象風景を語っています。
大げさに言えば、この歌で何が語られているかを知らなければ
フランス人がみた「Un Homme et Une Femme」と
日本人がみた「男と女」は、
違うものになっているのかもしれません。
フランス人は当然、この歌詞を理解しているのに
日本人は理解できていないなら。

L’amour est bien plus fort que nous 
愛はわたしたちよりずっと強い・・・。映画を
ご覧になった方は、どのようにお答えになるでしょうか?
愛とは、いったい、誰と誰との愛なのでしょう?
わたしたちとは、誰と誰なのでしょう?
愛とは、アンヌの、あるいはジャン・ルイの愛なのでしょうか?
それともアンヌとジャン・ルイの愛なのでしょうか?
それとも亡くなってしまったピエールの?
わたしたちとは、ベッドインまでした
アンヌとジャン・ルイのことなのでしょうか?
それとも、アンヌとピエールなのでしょうか?

観る角度によって物語の構図は変わってしまいますが
最もシンプルな切り取り方は恐らく、アンヌの立場でしょう。
アンヌを機軸に据えると、以下のようになるでしょうか。
つまり、アンヌはずっとピエールとの愛を抱えている。
ジャン・ルイに好意を示され、受け入れたくも思ったけれど
まだピエールとの愛がヴィヴィッドに胸の裡にある。
ジャン・ルイが、ピエールとの愛の輝きを紛れさせるほどに輝くのは
最後のプラットホームでだけ。意外性とサプライズによる輝きだから
それは長続きするものではない・・・。

別の言い方をすると、アンヌとピエールの過去の愛は余りに強くて
現在のアンヌとジャン・ルイの愛を成立させようとしません。
アンヌとピエールが持った愛と時間が独立した人格のように一人歩きして、
現在のわたしたち(アンヌとジャン・ルイ)より強いのです。
L’amour est plus fort que nous  その愛はわたしたちより強い。
余りに強い愛がまだ生きていて、その意味で、アンヌとジャン・ルイの愛は
生まれる前に失われているのです。

映画は、そんな風にして今に至った現在の、アンヌとジャン・ルイの間の
ひとつの愛の不可能性を描きました。
その不可能性を端的に示していたのが今回の歌ということでしょう。
エンディングで一瞬、アンヌを歓迎させ、不可能性を超越します。
・・ですが、根本的な解決ではありません。だから一時的な克服でしかありません。
つまり時間の経過とともに、二人は分かれるしかないのでしょう。

50年ぶりという「続」「Ⅱ」に続く3番目の「男と女 アンナとアントワーヌ」は
この愛の不可能性をどのように描くでしょうか? 根本的解決を与えるでしょうか?

あのサンバ・サラヴァにも秘密があります。
和訳とその謎は、 サンバ・サラヴァ 解読 のページでお読みいただくとして
この映画はいったい、どれほど奥行きを持っているのでしょう?

正直、 ダバダバダ はいまだに、
コマーシャルで使われたりします。
今も新鮮さを失っていません。
「男と女」と言えば、ダバダバダ 
と言っても、それはそれで間違いではありませんとも。
でも、この「愛はわたしたちより強い」も
心にしみる素敵なメロディで、
とても価値があると感じられます。
英語の歌詞をつけられ、歌われたりしていますね。

女 )
わたしたちの過去を導き役にして
わたしたちははっきりさせるべきだった
でも 最終的なことに わたしたちは信じ合っていない
愛はわたしたちより強い

男 )
期待すること それとも あきらめられること
愛がそれを望むとき 愛とはわたしたちのことだった
ご覧 愛とはわたしたちであるはず
愛はわたしたちより強い

女 )
わたしのそばにあなたがいる時、何ができたでしょう?
時間がミステリーを身にまとい
夜の風はさらに芳しく
愛はわたしたちより強い

男 )
俗世で自由に生きること
あるいは檻の中で幸せに暮らすということ
大切なのは
わたしたちには関係なく 決めるのは愛なのだということ
愛はわたしたちより強い

女 )
それで充分なはず
もう愛さないと告げることで
それでも 愛とはわたしたちであるはず
愛はわたしたちより強い

彼女)
過去を導き役にして
彼)
それで充分なはず
彼女)
わたしたちははっきりさせるべき
彼)
もう愛さないように告げること
彼女)
最終的なもの わたしたちは信じ合っていない
彼)
ご覧 愛とはわたしたちであるはず
彼女、彼)
愛はわたしたちより強い

「気」を発振する不思議な翡翠マグ と I love youの日(8月31日) の
青雲舎(株)が日本語への置き換えに挑戦しています。
それは歌の世界を可能な限り正確に理解するための試みです。
無断転載はご容赦ください。リンクはフリーです。

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    舎人独言には
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    ★ノートルダム大聖堂の聖なる秘数
    ★オパキャマラドの風景
    ★映画「華麗なる賭け」チェスシーンのセクシーの秘密
    ★名盤「クリムゾン・キングの宮殿」の実在のモデル発見
    ★映画「男と女」サンバ・サラヴァの謎

    といった解読シリーズがあります。

上記の翻訳と、映像でみるアンヌのフラッシュバックとを合わせて
舎人の解読をもう少し続けます。
皆様は、どのように解読されるでしょうか?

結局、アンヌの現在の混乱そのままに、アンヌにとっては
愛とは第一に、アンヌと亡き夫のピエールとの愛であり
「わたしたち」とは、アンヌとピエールを意味しています。
と、同時に「わたしたち」とは、狭義には
アンヌとジャン・ルイなのではないでしょうか?
ベッドインはしたものの、この段階ではまだ過渡期ということ。
だから、アンヌにとって「男と女」とは「アンヌとピエール」であり
また、「アンヌとジャン・ルイ」なのです。

ジャン・ルイとの新しい出逢いに、
夜の風が甘く感じられるほどにときめいたのに
過去に属してしまったピエールのことが、
今もやっぱり忘れられず
ジャン・ルイとどうしても結ばれることができない・・・。
だから、新しく出逢った「わたしたち(アンヌとジャン・ルイ)」よりも
ピエールとの愛のほうが強い、と。

一方、ジャン・ルイのほうは、もっと単純です。彼にとって
愛とはただ、ジャン・ルイとアンヌで築くべき現在進行形の愛です。
「わたしたち」とは、ジャン・ルイとアンヌのことで、ピエールなど
どこにも介在してくる要素ではありません。
だから、出逢いによって得たと思われる愛に
二人して身を任せればいい。
それぞれ過去を持ち寄ってはいても、
アンヌはもう、そんな過去を忘れたほうがいい。
そんな事情を抱えながら、二人は
愛をはぐくみはじめたのではないか?
アンヌの胸のうちから消えない「わたしたち(ジャン・ルイとアンヌ)」より
この、今の二人の愛のほうが遥かに強いのだ、と。

ただ、男もわかってはいるのです。
「大切なのは
わたしたちには関係なく 決めるのは愛なのだということ」と。
自分の都合でどうなるものではない愛がある。
むしろ偉大な愛であるほど、自分の気持ちや意思で
前に進んだり、やめたりなどできないことを。

女と男は最後に声を合わせて歌います。
「愛はわたしたちより遥かに強い」と。
しかし、なんというすれ違いでしょう。
同じ「愛 L’amour」を口にしながら
「男と女」がそれぞれ語る愛は
まったく違うものなのです。
出逢いとはタイミングでもありますから
思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
だからこそ、普遍的な「男と女」の物語ではないでしょうか?

この歌詞に沿って読むなら、三人と、それぞれの愛の在り方が
映画の最大の魅力として浮き上がってくるのではないでしょうか?
最後の素敵な抱擁は実は、
このような障害=ためらいを乗り越えたことを意味する
映像ではないでしょうか?

実は、そんな風に分析的に描きながら
映画は「アンヌとジャン・ルイ」ではなく
「(ひとりの)男と(ひとりの)女」となっています。
あなたにもあり得る物語、普遍的な男と女の物語として語られているから
感動してしまうのでしょう。
どうも、ネットで拝見する限り、ほかの方たちとは異なる
「男と女」の「読み」となっているのですが。

しかし、注意しておかなければいけないのは
フランス人と日本人のそもそもの恋愛観です。
作家の松井今朝子が直木賞受賞直後、読売新聞に書いたように
日本人にとって、恋愛とはレンアイにとどまっているようですから。
その特徴のひとつは、歌詞にもあるとおり
 lucide つまり、明晰であること。
フランスの恋愛は「クレーヴの奥方」以降の心理小説で描かれたとおり
心の動きを明確に捉えることで、
行動を決めようとする傾向があるようです。
三島由紀夫はそんな恋愛を、
日本のレンアイ土壌に接木しようと努力したわけですが。

たとえば詩人のエリュアールは、こんな詩句を書きました。

Mais je suis bien aussi vivant que mon amour et que mon desespoir.
けれども ぼくは生きている ぼくの愛とぼくの絶望と同じように

L’amour choisit l’amour sans changer de visage.
愛が愛を選ぶ 面差しを変えることなく

愛は愛としてすでに別人格の様相を呈しています。
自分の意思でどうなるものでもない、というところが
「レンアイ」ではない「恋愛」の、
またもうひとつの特徴なのかもしれません。

生き生きと人生を生きる魅力的な男性として描かれるピエール。
そんな彼だからこそ、ヨーロッパの感覚から離れた、
フレッシュさが色あせないブラジル音楽が好き
という設定は納得させられます。
新鮮な驚きに満ちていて、飽きさせないピエールだからこそ、
アンヌはピエールが忘れられません。
登場シーンは少なくても、ピエールの存在は
時にジャン・ルイより遥かに大きく、強い。
また、サンバ・サラヴァなどの
ブラジル音楽が使われた意味も注目すべきでしょう。
(当時、アヌーク・エーメとピエール・バルーは実際の夫婦だったのも嬉しい事実です)

アンヌは、ピエールへの愛と、ピエールを失った絶望を共に
忘れられないまま生きていました。
それがアンヌという女性の誠実さです。
たとえ死が二人を別れさせても、
消すことができない愛であったことの証明です。
そしてアンヌとピエールとの強い絆であった愛があったからこそ、
アンヌは、やはり相当に自由な生き方をしている
ジャン・ルイとの愛を知ることができました。
列車の中で過渡期を終える準備が進み
思いがけるジャン・ルイの出迎えで
怖気づいていた未来に飛び込むことができたアンヌ。

映画のラストは、そんな風に、ピエールとの愛が
ジャン・ルイとの愛を導いたかのようです。

ピエールとの生き生きとした毎日が描かれる
サンバ・サラヴァのシーン。
そのサラヴァにひとつの秘密があります。

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