少しずつ、近くに un peu plus près…

ボサノヴァの創始者のひとりと言われるジョアン・ジルベルト。

気難しくて、変人として知られますが、こんなエピソードがあります。

リオに飛んだ日本のライターがインタヴューを試みました。

始めは心配でしたが、思いのほか盛り上がり、

ジョアン・ジルベルトも楽しんでくれたようでした。

別れの挨拶をして一旦は部屋を辞去したのですが、

あんまりにも楽しかったので、もう少しと、

戻って扉をノックしました。

姿を現したジョアン・ジルベルトは

「ああ、あなたか。楽しかったけれど、

一日で知り合うのは少しずつにしたほうがいいと思うんだ」

という意味のことを言って断ったそうです。

ただのエピソードでなく、いかにもボサノヴァにふさわしい話として、

ライター氏に印象深かったのではないでしょうか?

この話で思い出すのは、「星の王子さま」のキツネの言葉です。

「時間をかけなくちゃ」。キツネは答えました。「まず、キミはボクから少し離れて、草の

上に座るんだ。そんな風にね。ボクは目のはしっこでキミを見るだろうな。だけどキミは

何も言わないんだ。言葉ってヤツが誤解の元サ。で、キミは毎日ちょっとずつ、ボクに

近づいて座るようになるんだ・・・」

-Il faut être très patient, répondit le renard. Tu t’assoiras d’abord un peu loin de moi,

comme ça, dans l’herbe. Je te regarderai du coin de l’oeil et tu ne diras rien. Le langage

est source de malentendus. Mais, chaque jour, tu pourras t’asseoir un peu plus près…

少し後には、「星の王子さま」でも最も有名な、あの言葉が出てきます。

「たいせつなことは目には見えないんだ」  L’essentiel est invisible pour les yeux

確かに・・・・・・だから、翡翠パワーは目には見えない。(笑

ちょっとコマーシャルを入れちゃったけれど、本質的なもの、重要なものは視覚では捉えきれない・・・・・。

でも、優しさを求めるのは日本の現状ですから、本質をこそ求める感じ方が広がる一方で

男であれ女であれ、スポーツの世界にも、選挙にだって、

イケメンが重要な価値を持つ傾向は決定的なように見えます。

本当に良いものは自分を信じ、自分の感覚で選ぶこと。

そのために自分の感性を磨くこと・・・たいせつです。

さて、ジョアン・ジルベルトがイタリア語で歌う「夏」です。
オーケストラヴァージョン

ギター1本の弾き語り

失ったキスのように熱く

心が打ち消したいと願うほどに

過ぎ去ったわたしの恋に満ちている夏

太陽は日々、わたしたちを燃えあがらせ

輝かしい夕暮れを描いていた。

今、太陽はむなしくギラつくだけだ。

また冬がやってくるのだろう

バラが1000もの花びらを落とし

雪がすべてを覆い尽くしし

わずかばかりの安らぎが戻ってくる、きっと

すべての花々にかぐわしさを与えた夏

わたしたちの愛を創り

苦痛をもって わたしを死へといざなう夏

こちらのほうは、ジョアン・ジルベルトではありません・・・。

もうすこし弱っちいのが好みですが、

ミュート・トランペットが物憂げな気持ちを印象付けています。